北海道道庁、原則公印廃止雑感

知人から、つい最近、北海道道庁が契約書や証明書等のいくつかの重要なものを除いてを公印を廃止、市町村からは、公印がないが本物かという問い合わせが多く寄せられている、と教示された。


これについて考えてみた。まず、公印押印によりこれまで保障されてきた書類の真正性の証憑能力が、公印廃止により欠落する。その場合、どんなことが起きるのか、という観点についての検討が欠落または不十分であると思う。

公印省略規程には内部文書の場合と外部通知の場合についての区別がないようだ。道庁内部に関しては、この規定は通じるかもしれないが、道内基礎自治体や、道外の都府県、国、外国に対しても同じように公印省略が通じるのか。対外的な発信文書であれば、道庁の組織的責任の「見える化」は、電子文書化LGWANによるやり取りであっても必要であろう。

要するに、対外的な文書は、これを受け取った相手がホンモノと信頼してくれるかどうか、というところがポイント。ホンモノであることを証明するためにこれまでは公印が押印されてきていた。でも、北海道庁は、その必要をもう感じなくなったということだろう。確かに公印は、いとも簡単に偽造できることが、ユン・チャン「ワイルド・スワン」に中国の文書文化のいい加減さということで紹介されている。そういう見方をしたら、公印など全く信頼できないから不要というのは一理ある。

なお、最近普及した電子メールは、公印も署名も何もなくても正式文書「並み」の扱いとなる場合もある。ただし、あくまでも便法。何をもって正式とし、何をもって略式と考えるかは、その組織の文化そのものなので、側からとやかく言うのはよくないのかもしれない。しかし、何ともだらしない。公印省略文書は、個人的な印象としては、夏のクールビズ・ノーネクタイみたいなもので、仲間内では通用するが、傍目に見れば緊張感に欠ける態度に見えるのは否めない。品位という観点から、私は公印廃止には賛成できない。
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# by dji2 | 2009-10-14 23:06 | 覚書

公文書管理法の成立

2009年6月24日、公文書管理法が参議院本会議で、全会一致可決成立した。

その瞬間を見たくて、当日は雨の中国会議事堂に出向き、傍聴券を入手して、傍聴席した。周囲は中学生ばかりの傍聴席。前の席にいる引率の先生らしい女性が、立ち上がって議員席を覗き込んでいたら、早速ガードマン(衛視)が飛んできて、着席を促した。

議場では、江田五月さんが議長席で、台本を読みつつ議事を進行する。議長席の真下には、速記者の席があり、二人ひと組で速記を取る。5分ごとに別の二人が、たぶん下から階段を上ってあらわれ出て着席し、4名による速記、その5分後には前からいる二人が下がっていく。議場での発言を細大漏らさず記録する仕事だから、集中力と記憶力が求められるのだろう。これとは別にテレビやインターネットで議場の模様が中継放映されている。記録を作る、という意味でこの作業はとても興味深い。しかし、このときの関心は、公文書管理法案の審議と採決であった。

いくつかの議題について説明が行われ、採決はすべて議員席の押しボタンで行われていた。電光掲示板には、投票総数、賛成 反対の票数が表示される。スピーディな処理だ。

厚労省関連の議題の採決が終わると、大臣席にいた舛添さんは素早く立ち上がり、議場に向かって軽く一礼すると、足早に議場の外へと出て行った。自分の担当以外のことは、関心も示さない人なのかしら、と少しガッカリ。その後が公文書管理法の審議と採決だった。

前日内閣委員会で議事進行を担当していた愛知議員が経過説明を行い、採決が行われた。222票の投票のすべてが賛成票、全会一致の可決だった。

電光掲示板をみて厚労省の議案のときには投票総数が219だったのに、公文書管理法では222票と増えたのに気づいた。この法案に賛成票を投じるために、遅れて議場入りした議員がいたのだろうか。

このときに思ったこと。政治家は、行政の公文書の管理をいい加減にするべきではない、国民への説明責任を果たすためにルールを作って確実な管理と保存を行うべきだ、というところで全会一致をみた。しかも、他の議題の採決には参加しなかった議員までが、これに賛成票を投じている。この投票結果は、政治家にとっては、公文書の確実な管理と保存は必要である、とするのが与野党共通する考え方であるということのあらわれなのだと。2002年6月、当時の自民党デジタルアーカイブ小委員会に呼ばれて、文書基本法と記録管理院の必要性を訴えたとき、河村建夫氏(現在は官房長官)が「これは必要ですよ。国民の信頼を失わないためにも」というようなことを言っていたのを思い出した。政治家は国民の信頼を得たい、国民の信頼を得るには、公文書の確実な管理と保存は欠かせない、と河村氏は考えたのかもしれない。しかし、NIRA研究会ではその成立についてはかなり悲観的だった。委員会最後の日、座長高橋滋氏は、「10年後、君が仕上げることになりそうだね」とメンバーの一人に語りかけていたのだから。

投票結果が電光掲示板に出ると、江田議長はその結果を口頭で読み上げ、全会一致による成立を宣言した。そして、トン、とハンマーを叩いた。決定を告げる議長のハンマーだ。大臣席で、少し顔色悪そうな様子に見えた小渕優子大臣は、その時立ち上がって、議場に向かって深々と一礼した。江田議長は、散会を宣言した。
10時ちょうどに本会議が始まり、10時23分、10件の採決を終え、会議は終わってしまった。公文書管理法は、こうして成立した。

公文書管理法は7月1日付官報(号外第˜š 号)に登載された。7月末まではこちらから7月1日付官報号外第˜š 号pp.10-18を検索すれば、見ることができる。
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# by dji2 | 2009-07-05 02:23 | 覚書

朝日新聞社説

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2009年3月31日付朝日新聞社説に「公文書法案この国会でぜひ成立を」が出た(写真)。日本の民主主義にとって、これは必要な改革である、と結ばれている。
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# by dji2 | 2009-03-31 09:39

公文書管理法案、内閣府から情報提供♪


内閣府公文書管理検討室から下記着信。とても親切だ。情報提供は、このようにしてもらえると、主権在民だと実感できる。

===ここから===

本日の閣議におきまして「公文書等の管理に関する法律案」が決定され
国会提出の運びとなりましたので、取り急ぎお知らせいたします。
同法案は、内閣府HP内に掲載しておりますので、そちらをご参照ください。

掲載HPアドレス
http://www.cao.go.jp/houan/171/index.html

内閣官房公文書管理検討室
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# by dji2 | 2009-03-03 21:12

公文書管理法(仮称)に「盛り込むことを検討すべき」7項目   10月 16日 有識者会議最終回

DJIメル友の皆様

===DJI081017===

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公文書管理法(仮称)にむけ、最終報告書案
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国際資料研究所  djiarchiv@...  
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│公文書管理の在り方等に関する有識者会議 最終回 │ 
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メル友の皆様

有識者会議、終了 
本日10月16日午前、公文書管理の在り方等に関する有識者会議が開催され、最終報告書の案文が示されました。
今回も国務大臣小渕優子氏の挨拶がありました。

前回、尾崎座長から公文書管理担当機関と国立公文書館のあり方2案を一本に絞る提案されていましたが、今回の報告書案では、「両案を検討した結果、特別な法人」が提案されました。
また、尾崎座長は、国の機関の職員の便宜を考え、霞が関地区周辺での施設整備の希望を述べ、また会議の最後には関係諸方面に対しこれまでの協力のお礼を述べるとともに、事務方にはこれまでの労をねぎらいつつもうひと頑張りを求めました。


●国際資料研究所は、公文書管理法(仮称)がどのような形で示されるのかに注目しました。、

公文書管理法(仮称)にむけた「盛り込むことを検討すべき事項」
報告書案の最後におかれた公文書管理法のたたき台ともいうべき部分は、「公文書管理法制に盛り込むことを検討すべき事項について」でした。ここには(1)法律の目的、(2)公文書の定義、(3)行政文書の管理、(4)独立行政法人等の文書の管理、(5)歴史公文書等の管理、(6)公文書管理担当機関の機能強化、(7)その他の7項目が掲げられました。

(2)公文書の定義では、「各府省が管理する行政文書」「移管後の文書=歴史公文書等」、独立行政法人等の文書も対象にするのでこれらを一括して「公文書等」と定義する、としています。


(3)行政文書の管理は、公文書管理担当機関と公文書管理委員会(仮称)という組織構成と、基準の策定や中間書庫の位置づけ、公文書管理担当機関の権限に関する記述です。公文書管理担当機関の権限には、保存期間や保存期間満了時の措置、公文書管理状況の実地監査等があります。

(5)歴史公文書等の管理では、「国立公文書館等」、並びに「国立公文書館・宮内庁書陵部・外務省外交史料館」に共通ルールを、などの表現があります。


(6)公文書管理担当機関の機能強化等では、法律的な関係の整理を前提に、「公文書管理担当機関の機能を強化すること」、「国立公文書館の組織と業務の在り方は…必要に応じて所要の組織法の改正を行うこと」とあります。また、「立法府および司法府の文書についても、…国立公文書館への移管を促進するための必要な措置を盛り込む」とされました。

(7)その他では、「地方公共団体は、…必要な措置を講ずるよう努めること」が盛り込まれています。


●間もなく、内閣府のサイトに最終報告書案の資料がアップされることと思います。その折には、ぜひ資料をご確認ください。


●いつもご紹介している「調査会法情報」では、昨日速報で081016-2 (公文書管理) をブログに掲載されておられます。 

また、同じく「調査会報情報」MLでは日経、朝日の記事の紹介もありました。

《公文書管理》
■有識者会議、公文書館の機能強化を提言へ(10月17日)日本経済新聞
公文書館を「特別の法人」に 有識者会議


■国立公文書館を北の丸から霞が関移転の提言も(10月16日)朝日新聞
国立公文書館「特別の法人」に 職員増促す 有識者会議
2008年10月16日19時24分 朝日新聞



●―瀬畑源ブログ―の速報もご覧ください。
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# by dji2 | 2008-10-17 15:00 | イベント