まだ、書斎にいると首周りから汗が滴ります。冷房が壊れ、エコ生活中。
こういう時こそ、あれこれゆっくり考えたり、昼寝したりして、なんとか考えをまとめたいと思いながら、できたのは昼寝だけ。 現在の法制度そのものの細部にこだわることなく、大きな未来像を描き出したいと願いつつ、昼寝しながら考えたことは、次のようなことです。 中間報告は、次のような要素で構築されている: ①国立公文書館を国立機関に戻したうえでこの機に乗じて規模拡大を図りたいという国立公文書館自体が持つ強い希望 ②中間書庫に法的根拠を与得ようとする内閣府の意向 ③文書主義で文書事務を実施する「現場」としてはこれ以上ことを複雑にされたくないという役人の心に潜むホンネ ④年金問題を頂点とする文書管理のいい加減さを是正する姿勢を国民に見せたいとする首相や上川大臣の意向に沿った結論を導くため、理念を高く掲げようとする内閣府公文書管理検討室の意欲 特に上記③が大きく影響しているのだと思われるのですが、本来なら考慮すべきなのにふれられていない項目が結構たくさんあります。 ●文書主義をうたいながら文書の取扱いに関する政治家、公務員、及びそれ以外の人々に対する罰則規定の必要性 ●文書館の現場で常に問題になる(=利害関係者としては大いに関心がある)資料の公開に関するきめごとの必要性=>これは秘密指定、秘密解除といった情報の取扱いにもかかわるかなり根の深い問題です ●「記録管理院」と国の各機関との関係の在り方について (司令塔というほどの表現だけですむのか) ●現在稼働中の国の公文書館相当機関との関係の在り方=>外交資料館、書陵部、防衛研究所図書館、アジ歴など(アジ歴は、国立公文書館附置のままでいくのか。国立国会図書館のような資料閲覧施設に移した方がよいのではないか。) 【司令塔=国立公文書館なのか】中間報告を読んでいて、今一つ分からなかったこと。 ●「記録管理院」とでも呼ぶべき公文書の一元管理を行う司令塔の実現は、かなり強い意欲が感じられます。しかし、報告書では、新たな司令塔を作りたいということなのか、単に国立公文書館が専門家を雇用する理由づけを行い、それをてこに各国の機関から非現用文書の受入総量を増やしたいということなのかは、表現上の揺れもあり、不明確です。とりわけ気になったのが、国立公文書館長=the Archivist of Japanとする、という文言で、これではあたかも現状の国立公文書館をそのまま司令塔に置き換えてるものと考えているようにさえ受け取れる表現です。 こなれていませんが、日本の国立公文書館の職員数統計について、思いついたこと。 【日本の国立公文書館の職員数統計】 国立公文書館の職員は42名、で正しいのか。 最近になって気づいたのですが、役所には文書管理担当部署が必ず置かれています。ここで、文書の管理を担当する職員がどれだけいるのかという統計は、これまでの研究の中では出てきていません。しかし、たとえば各府省の文書課に管理・保存担当職員がたとえば2名ずついるとして、それだけで30人位の「レコードマネージャー」「レコード・オフィサー」相当の職員がいるということができます。また、国立公文書館が雇い上げているパートや非常勤職員は100人以上と漏れ聞いています。こうした人数をきちんと把握した上で、日本の公文書管理司令塔にかかわる現行の職員数の統計を出すべきです。こういう仕事に従事している人が文書管理を支えているということを、正確に把握する努力は、怠るべきではないと考えます。 【その他のポイント】 アーキビストやレコードマネージャーを置きさえすれば、文書管理は改善されるはず、という思い込みがあるのではないか。 中間書庫の整備は熱心だが、電子記録は後回し 現用文書の管理システムは放置、現状がなぜ具合が悪いのかについての検証の必要性について意識されているのだろうか。さしあたり、悪いところを是正するというのではなく、なぜ悪いのか、なぜ悪い状態でもこれまでの行政(司法、立法も)はそれなりに運営されてきているのか、これをよく見極めたほうがよい。たぶん、憶測なんだけど、そこにはあらゆるウソつきやごまかしの機構が出来上がっているのではないか。そのようなことを想定しつつ、文書事務、文書管理の現状を冷静に把握するための時間を用意しなければ、新しい制度を作ったところで、結局また同じ過ちを繰り返すことになるという強い懸念がある。 思いついたことを忘れぬうちに記録しました。
by dji2
| 2008-07-31 19:40
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